小学校高学年のころ。友達とふたり、自転車を漕いで遠くまで行った。おそらく全国どの小学生も同じとは思うが「遠くまで行く」事が目的だ。
季節は真冬で、手袋をしていてもハンドルを握る手が冷たい。
「冬でも手冷たくならん方法教えたろっか?」
前を走る友達がそう叫ぶので俺は、
「ゔゔーー」
と返事をし鼻水を袖でぬぐった。
友達は速度を落とし、並走する。
「めちゃくちゃ力入れてハンドル握ってみ。血が行かんようになって気温の変化受けにくくなるで」
俺はめちゃくちゃ力を入れてハンドルを握った。
こういう、間違った知恵をよく思い出します。