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Everybody must get Stone

Twitterを再開して、楽しく使っている。再開というからには前にも使っていて、そのときは「楽しく使えなくなったから」やめたのだった。

再開するまで2年ほどの期間があり、「せっかくなら全部」という好奇心から、それまでやっていた全てのSNSを辞め、携帯電話をシラフで家に忘れてしまうほど人と連絡を取らないのが常 といった、たいへん身勝手な理由かつ若干サブいし軽い、誤った意味でのサブカル生活を送っていた。かといって毎日家に篭ってるでもなく一人ほどほどに楽しくやっていたので、これを ひきこもりとは呼べず、振り返ればダウナーな時とハイな時がプラマイゼロくらいで、リア充と呼べるほど男女のまぶしい笑顔や、リマインダー機能を使うようなイベントが皆無だったこと、職質はされないが歓迎もされないこと、以上の点を踏まえ、俺はこの期間を 「ひきこもり(リキュール類)」または「リア充(中古品・状態C)」などと呼称し、今後の糧にしていこうと思っている。

そんな、ひきこもり(リキュール類)期、人との繋がりを絶ったことを補填するかのように俺はスピーカーケーブルを繋ぎ、RCAケーブルを繋いだ。ピュア・オーディオ・ブーム(単独)の到来である。

一般的に「オーディオは沼」と称されるほど危うい趣味ではあるが、「価格で解決せず」「他人と比較しない」をモットーにすることで、幸い現在に至っても事故無くこの泥んこ遊びをエンジョイできている。だが沼を、王道を行かず体感と工夫で何とかしていくスタンスを取ったことで様々なバグが生じており、「白目をむくと高音が良く聴こえる」とか「昼が麺だったからボーカルがぼやける」とか、まぁ半分冗談だけども、もしここに書いたらTwitterのフォロワー皆んな居なくなっちゃうよ?的な事がまぁまぁある。でもよくよく考えると俺のフォロワーは現在18人だし、全然書いちゃっても構わない。

それでも王道への憧れはあって、そのひとつが御影石(みかげいし)である。これをスピーカーの下に敷いてアレすると低音や輪郭がアレするのである。

いまサクッと調べてみたところ御影石は「安価で、コストパフォーマンスに優れた素材」とあるが、オーディオ専門店で見かけるそれは1枚1〜5万円くらいする。スピーカーは1つではないので、つまり、オーディオという沼へのチケット相場が幾らくらいなのかは読者の皆さまにもお分り頂けたかと思う。

当時はアマゾンすら利用していなかったので、安価に御影石を手に入れることは不可能に思われた。が、俺はひらめいた。

「霊園があるじゃないか」と。

つまり、餅は餅屋、石は石屋、という事である。俺の住まう西東京は霊園が多く、霊園天国と呼ばれているというのは嘘だけど、その付近に石材屋は多数存在する。

思いついたその日、はげしい雨が降っていたが俺はカッパを着込み、長靴を履き、自転車を走らせ、その地域では一番メジャーと思われる雰囲気の石材店に駆け込んだ。

従業員のおばちゃんは俺を見るなり

「ご苦労様です〜」と言い、

俺は夕刊を届けにきた訳ではないという旨を説明し、とある事情でコレコレこういったサイズの御影石2枚が必要であること、決してあやしい者ではないこと、ベルデン社のケーブルの善し悪しetc.を伝えるとおばちゃんは

「そぉ〜いうのはぁ〜、、、ちょっとぉ〜〜、、、」と言うので、

俺は深くお辞儀をし、店を後にした。

二軒目。さっきよりもライトな お辞儀をし、店を後にした。

三軒目のことは憶えていない。

そして雨が上がり四軒目、

一家で経営するその店のお父さんからついに「面白そうだね、いいよ」との返事。

店の外に積まれた石材を指し「これが御影石ね、スピーカーだから2枚だもんね、これがいいかな、ん〜いやこっちも良いな」などと言っているお父さんを見て俺はたいへん感動した。仮に「ほら、冷たくない石もあるだろ?」とか素っ頓狂なこと言われたとしても、俺の感動は止まなかっただろう。むしろスタンディングオベーションだ。

さらに代金である。

「千円でいいよ」

2枚で、千円。さおだけ屋が乾燥機すすめるレベルの衝撃。

数日後に受け取ったその御影石は寸分の狂いもなくカットされ、頬を擦りつけたくなるほど綺麗に磨き上げられていた。

「ここで墓作ってもらいてえ」

お気に入りの豆腐屋に続き、お気に入りの石材屋を見つけた。

やっぱりメジャーで巨大な企業よりも個人店っていいな、と思った帰り道、

「そういえば」と更にひらめき、立ち寄った個人経営のお米屋さん。話長すぎて自慢ばっかりだったのであれから一度も行ってない。

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